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  • 2008.12.16 Tuesday
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一定期間更新がないため広告を表示しています


国債残高を減らす超カンタンな方法

以上、経済学者菊池教授の論文をご紹介してきました。初めて読んだ時は、これだけでもインパクトがありましたが、著書『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』を読むとさらに詳しく丁寧に解説されていて、これを教科書にすれば、財政再建なんて一発だ!お茶の子サイサイ♪じゃ!と思います。

たとえば「ドーマーの定理」の話もその一つです。

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

ドーマーの定理(P.31)

財政理論のなかで、有名な「ドーマーの定理」というのがある。これは名目GDPの成長率が国債のコストよりも高ければ、国債残高は自然と減少していくという理論である。この定理から言えることは、GDPの名目成長率が国債発行者のコストよりも低ければ、国債の発行残高は増えていくということである。

現在の日本がこの状態にある。日本の政府の国債発行コストは平均2%である。しかしGDPの名目成長率はゼロないしマイナスである。これでは国債残高が増える一方だ。名目成長率がいかに重要であるかは、こうした理論からもよくわかるであろう。

デフレの元では、実質成長は一種の幻想にすぎない。経済成長のベースは名目成長率である。
なお、国債のコストを名目GDPと比較すると、2003年では、日本は1.4%となり、主要国の中でもっとも低い。アメリカは1.8%、イギリスも1.8%、ドイツは2.8%である。

−−−−−

このドーマーの定理は、2/25のブログで紹介した「Wave of Sound の研究月誌」http://waveofsound.hishaku.com/zaisei/zaisei0.htmlの中でも数式によって証明されています。

つくづく、‥思いしらされました。自分の無知さを。
世の中には、マクロ経済学というものがあります。

『マクロ経済学(英macroeconomics)とは、個別の経済活動を集計した一国経済全体を扱う経済学である。マクロ経済変数の決定と変動に注目し、適切な経済指標とは何か、望ましい経済政策とは何かという考察を行なう。その主要な対象としては国民所得・失業率・インフレーション・投資・貿易収支などの集計量がある。』(出典:ウィキペディア)

前述の「Wave of Sound‥」さんも、このマクロ経済学を根拠に算出をされています。
ブログ「言葉の力---亀井久興議員の演説」内でも紹介されていますが、

『たとえば、消費税率が現在の2倍の10%になったとしましょう。この場合、GDPが60兆円(割合にして12%)も減少し、国民は塗炭の苦しみを味わいます。しかも、消費税の税収は増えても所得税などの税収が減る結果、総税収は3兆円しか増えないのです。消費税増税路線の先には、総所得が減少するのに税負担が増えるという、暗い未来しか見えません。

では、公共投資(中身は従来型とは限りません)による内需拡大路線はどうでしょうか。
こちらの方がはるかに有望です。それは今の日本経済は実にまれで特殊な状態にあるからです。民間投資が個人消費の増減におそろしく過敏になっているのです。

一国の民間投資の規模はGDPの1割から2割程度と小さいけれども、実は、その小さな尻尾(投資)が巨体(一国の経済)を振り回していることはよく知られています。その重要な民間投資が、現在の日本では、個人消費の増減にかつてないほど強く反応する状態にあります。

個人消費が前年より1兆円増えれば、民間投資がいくら増えるか、ご存じですか。答は2.5兆円です。1980年代以前、この数字は1兆円に満たないものでしたから、現在、2倍以上になっているのです。昨今の国内需要の低迷の結果、なにかが売れるとなったら、あらゆる企業が殺到してその商品の生産に邁進する、という状況が、この過敏性をもたらしているのでしょう。』

政府の中枢にいない、おそらく官僚でも日銀でもエコノミストでもない方が、ここまで具体的な数字をあげて的確に答えを出すことができる‥それが『マクロ経済学』なのです。

振り返れば、ホントにこの日本という国は、「経済学者=エコノミスト」ではない「エセエコノミスト」が幅をきかせているということに愕然とします。。。きっとテレビ・新聞といったマスコミ、巨大メディアで情報を発信している方々も、きっとつい先日までの筆者と同じように「マクロ経済学」について、何ら知らない、わかっていない、のだと思うのです。‥でないと、ここまで日本経済がボロボロになるまえに誰かが何かを言っていたはず。

‥と思ったら、ありました‥!
『経済評論家はしばしば経済学者の英訳であるエコノミストという言葉で紹介される、あるいは自称する事がある。』(出典:ウィキペディア)
‥これでしょう!!すべての諸悪の根源は!!!

マクロ経済を何らわかっていない「経済評論家=エセエコノミスト」が「いかにもわかったような顔をして」「テレビや新聞でコメントをする」そこではわかりやすいコメント、「家計」や「経営」に照らし合わせて理解できるコメントが受け入れられ、国民を徐々に洗脳していく‥!

ありえない‥。

まだまだテレビや新聞の力は巨大です。
日経の副編集長が確か「規制緩和を止めるな!外資参入を拒むな!」つい先日もコメントを出していたようです。(外資参入を叫ぶのも欺瞞だったりするのですが、それはまた改めて‥)
民間で働いている人は、血のにじむようなコストカット、上がらない賃金を体感しているがゆえに、国もコストカットを行えば、経営(=国の財政)、がよくなるんだろう、とつい我が身に当てはめて考えてしまう‥。

違うのです。
国は、国の「財政」は、「家計」や「経営」とは全く違うのです。

無知は私たち国民自身を破壊します。

JUGEMテーマ:政治



日本は政策危機である・増税が日本を滅ぼすプロセス

今からは文藝春秋ではスペースの関係で少ししか触れられなかったと思われる箇所を著書『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 よりから紹介していきたいと思います。

まずは今の状態を2005年の本書発行の時点で予言している?文章から‥

日本は財政危機である (P.181)

第一章で、日本は財政危機ではないことを詳しく説明した。しかし、財政赤字は続いている。政府債務はどんどん増えていく。どうしてこうなるのか。それは財政政策を間違えているからである。日本は財政危機ではない。しかし「政策危機」である。つまり、過去4年間の緊縮財政(投資関連の支出)を継続し、ここで大増税を実行すれば、間違いなく、日本は財政危機に陥る。

財政危機とは、実態経済が衰弱し、国民が納税できないほどの弱体化した経済になってしまうことである。その上、債権国である日本が債権額が減少し債務国に転落すれば、財政危機どころではなく、国家の危機である。そうなれば日本国の破滅である。

政府が粗債務だけにとらわれて、緊縮財政と増税を繰り返せば、必ずや、日本は国家の危機に遭遇するであろう。その前にどうすればよいのか。これが現在、日本が直面している課題である。


増税が日本を滅ぼすプロセス(P.182)

2012年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を均衡させようとして大増税を実行し、財政支出を大幅に削減してくとすれば、名目GDPが縮小し、デフレが進み、経済が停滞する。税収は減少するので、さらなる増税をし、公共投資の削減も継続する。しかし、基礎的財政収支が一時的に均衡しても、財政はよくならない。つまり政府債務の国民負担率は上昇する。しかも、翌年からは再び財政赤字が拡大して、基礎的収支が赤字になり、赤字幅が拡大する。こうして経済が停滞すると、円安になり、外貨は安い円で日本企業の株を買い、企業買収や優良地域のビルや土地を買い占めることになる。

一方、財政赤字はいったん縮小しても、すぐまた増えるので、政府債務も増加する。現在の日本の国債は40%を「政府等」で保有しており、簡易保険と郵便貯金で30%を保有していて、現状では安泰である(第一章参照)。しかし、郵政公社民営化に伴い、将来的には簡易保険会社や郵便貯金会社が日本の国債をもてなくなり、新規発行国債のみならず、発行済みの国債の書き換えも難しくなるであろう。債券市場では、日本国債の価値が下がり、長期金利は上昇する。金利上昇はわれわれの住宅ローンの金利に反応し、国民の金利負担が増える。金利負担は国民の購買力に影響し、需要が減り、経済の停滞に拍車をかける。

こうして国内経済は行き詰まり、スタグフレーション(不況下での金利高、物価高)の様相を呈することが懸念される。

JUGEMテーマ:政治



新聞は財政を正しく理解していない・公共投資削減で税収激減

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

新聞は本質的問題を正しく理解して記事にすべきである(P.42)

日本経済新聞(2005年3月15日)は「粗債務でも純債務でも、いずれのデータを使っても日本の財政状況が先進国のなかで相当悪いことには変わりない。にもかかわらず、健全化をゆっくり進め国民負担増や歳出カットを小幅にしたい立場からみると、純債務ベースのデータの方が都合がよい」と書いている。しかし、純債務で財政を把握しようとするのは、財政危機を先送りしようとする姑息な見方ではない。「日本の財政を国際的レベルで正しく把握しよう」とするものである。そうすれば、増税しか手段を見いだせない政府に、新たな対応策が出てくることを指摘しているのである。

新聞は、こうした本質的な意見を読者に十分説明すべきである。秋元議員の重要な指摘が財政支出を緩和する一手段のように報道されたのは、残念である。マスメディアの方には、純債務で把握することが、財政の本質的な問題であることをしっかりと報道していただきたいし、とくに国会での提言者の見解を正確に記事に書き、国民の理解を深めるように努めてほしい。日本にはあまりにも物事の一面しかみない主張が多い。有力紙はこうした見方をせずに、正しく報道すべきである


公共投資削減で税収激減(P.58)

つまり、2001年度から2004年度までに、公共投資を1.6兆円削減して喜んでいても、結果として税収を26兆円も失ったのである。税収ばかりではない。デフレ予算の悪影響は計り知れない暗いイメージを実態経済と国民に与えており、極めて愚なる政策である。

このツケが大増税である。新聞紙上なので、公共投資の削減額だけを取り上げて、「すでに2兆円近い公共投資をカットした」と報じ、いかにも財政改革が進んでいるかのような記事がみられる。しかし、これによって失った税収と疲弊した日本経済を忘れている。これこそ、「一面的な見方」である。国民は騙されてはいけない。デフレが進んでいるときには、投資関連支出は少なくとも前年比同額か増加させるべきである。デフレ下で、投資関連の財政支出を削減すると、削減額を遙かに上回る税収の減少があることを忘れてはならない。これは1930年代の教訓である。

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税収が激減したのはなぜか・GDPデフレーターについて

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

税収が激減したのはなぜか(P.59)

デフレが進行しているときでも、景気は循環している。デフレで名目GDPが下降している過程でも、落ち込みがきつければ、そのあと一時的に景気は再浮上する。ただ、デフレのときには民間だけでの景気浮揚力は極めて弱い。だから政府が緊縮財政を堅持していると、上昇局面は短期間で、すぐに経済は下降局面に戻る。

この流れを明確に表した指標がGDPデフレーターである。GDPデフレーターは、1998年から実に7年間継続して低下しており、前年四半期と比較してマイナスが継続している。
(略)
GDPデフレーターが大幅にマイナスであるのに、名目GDPの落ち方が小さいのは、国民が貯金を取り崩して現状の生活維持のための消費にあて、必死にデフレによる所得の減少に耐えているからである。これは日本経済の実情をみれば明らかである。

−−−−−

GDPデフレーターとは、物価を表す指数の一つです。
基準年度を100として表す場合もあれば、基準値を0としてプラスとマイナスで表す場合もあります。

基準値を100として表す場合は、上昇すれば101、102、103‥となり、
物価が下落すれば99、98、97、‥となります。

基準値が0の場合は上昇すれば0.1、0.2、0.3(略)、1.0、1.1、1.2‥となり
下落すれば-0.1、-0.2、-0.3(略)、-1.0、-1.1、-1.2‥となります。

所得が上がっても同時に物価があがったら、見た目に経済成長しているようにみえても、実際の購買力はそれほど変わらないため、名目GDPとGDPデフレーターの調整で実質GDPが算出され、実際の経済成長に近い数字が出る、とされています。

しかし、ここで大きな問題が。

経済が順調に成長しているときは、実質GDPで経済成長をみても全然問題ないのです。
名目GDPが5%、GDPデフレーターで2%(上昇)の場合、実質GDPがだいたい3%、ということになる。(すごおくアバウトに言ってます‥)

が、デフレの時は、その逆。

名目GDPが1%、GDPデフレーターが−2%(下落)とすると、実質GDPは約3%となり、なんと、さっきと同じ計算に!!
実質GDPだけみれば、「普通に成長しているじゃん」となってしまう‥!!!成長してないのに〜!これだと政府債務が増えるばっかりなのに〜!!

これをマスコミは思いっきりスルーして言ってます。政府が実質GDPだけ強調すれば、そのまま流しています。テレビも新聞も。名目GDPにあえて触れずに。GDPデフレーターは別扱いして。

ホント、マスコミってバカじゃん!‥って思ってきたでしょ?
‥っつーか、ちゃんと真実を放送しろよ、何が「経済は堅調」だよ、日本は疲弊しまくってんだよ、デフレなんだよ、バカ!!って感じかな。(失礼)

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デフレのもとでは「実質」成長は幻想にすぎない

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

デフレのもとでは「実質」成長は幻想にすぎない(P.60)

『構造改革が始まった2001年から今日まで、マクロ経済指標(経済全体をみた指標)は悪化し、それが税収の激減、財政赤字の拡大、政府債務の増加となっている。デフレのもとで数字が「よくなった」といっても、「実質」の数字であり、ここにデフレのマジック(数字上のごまかし、幻想)がある。「名目」での統計数字が改善しない限り、税収は増加しないのである。』

『「実質」成長率は、「名目」成長率から「GDPデフレーター」を引いた数値にほぼ一致する。消費者物価がなだらかに上昇するふつうの経済状況では、GDPでフレーターはプラスである。たとえばアメリカのように、毎年消費者物価が2〜3%上昇し、名目GDP成長率が4〜5%になる国であれば「実質」成長率は2%前後となる。これが通常の姿であり、IMF(国際通貨基金)やOECDの統計もこうした事態を想定している。

ところが、日本のようにデフレだと、GDPデフレーターがマイナスになる。そうなると名目」成長率からGDPデフレーターを引いた数字はプラスになり、「名目」成長率がマイナスでも「実質」成長率はプラスになる。たとえば、「名目」成長率がマイナス2%とし、GDPデフレーターがマイナス4%とすると、「実質」成長率はプラス2%となり、新聞は「日本経済は順調に成長」と見出しにする。

たしかに物価が4%下がれば、1年前に100円だった商品は96円で買える。4円だけ安くなった。これがプラス成長だという理屈である。しかし、経済全体で考えると、名目GDPが減少(経済規模が縮小)するため、企業収益が減り、個人所得も減らされる。債務があればその負担は大きくなり、債務が無くても企業の投資意欲が減退するので、経済は衰弱して、経済規模が縮小し、雇用機会が減る。

現在の日本をみると、輸出の比重が高い企業、リストラ(人員整理)を強行した企業など、」主として大手企業が収益を伸ばしている。しかし、中小企業では68%が欠損法人であり、内需抑制策が継続する限り、輸出関連企業以外は収益の向上を期待できない。

最近、新聞に発表される四半期ごとの日本経済の速報値で「実質」の成長率や数値だけを表示して「名目」の成長率や数値を書いていない記事がある。デフレのもとでは、名目値が悪くなるので、表示しないようにして、国民の目を「実質」ベースに向けさせ、幻惑しているのかもしれない。こうして国民は、大増税の罠に落ち込んでいくのであろう。』

JUGEMテーマ:経済全般



金融庁と新聞が妨害する日本経済の発展

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

デフレが国民生活を崩壊させている(P.63)

2001年度からの小泉構造改革によって、デフレは国民生活に深く浸食してきている。ここで、その実態をみてみよう。

われわれの生活に直結するデータをみると、すべてのデータが2001年度から急速に悪化している。家計の可処分所得(手取り所得)をみると、2000年には25兆円も余っていたのに、2003年にはついに3兆円の赤字に転落してしまった。2000年には9.1%であった家計の貯蓄率は、2001年に6.7%まで急落し、2003年には若干戻ったものの、なお7.8%にとどまっている。

貯蓄率の低下は高年齢化によるところもあるであろう。しかし、家計を担う国民の可処分所得が7年間も連続して減少しているところからみて、国民はデフレで所得が減り、必死に貯蓄を取り崩すなどして生活防衛につとめているのである。


貧富の差が拡大、家計の24%が貯蓄ゼロ、失業率の実態は10%(P.64)

身近な問題をみてみると、国税庁の民間給与実態調査では、サラリーマンの給与は過去7年連続で減少しており、家庭の約4分の1が月収20万円以下である。また、預貯金を保有していない世帯が23.8%もある(金融広報中央委員会調査、2005年10月発表)。当然、貧富の差が拡大している。また、国民年金についてみると、国民年金保険料の未納率も2001年から急上昇しており、年金保険料を納めない人の65%が「経済的に支払いが困難」と説明している(社会保険庁)。国民年金保険料未納問題の本質は、デフレにより低所得者が日々の糧に追われ、年金保険料の支払いまでの余裕がなくなっていることにある。

デフレの時代には、安定した収入のある人は安く物を購入できるので幸せであろう。しかし、経済全体としては雇用機会が減り、経済規模の縮小が国民生活を浸食していき、いずれは高額所得者にとっても収入の減少となって、大きなマイナスになる。

経済発表の失業率は、2002年の5.5%から2005年7月には4.4%に改善したと報じられている。しかし、失業率の実態はこれよりもはるかに高いとみられている。堀内光雄氏(元自由民主党総務会長)は、若年層で雇用統計に入らないフリーターや、学校は卒業しても就職、進学、職業訓練を受けていない人々(「ニート」と言われる)、中高年層で退職しても雇用機会を求めている人々などを加えると、失業率の実態は10.1%に達すると分析している。とくに1年以上の失業者が120万人を超えるのは、ゆゆしき状況である(「雇用のニューディールが必要」『国際経済研究』2004年2月号)。

また、正社員が減少しており、1999年には雇用者全員に占める非正社員比率は28%であった。しかし、2003年には一挙に7%ポイントも上昇して35%に達している。従来からサービス業では3人のうち2人は非正規社員である企業が多かったものの、ここ数年間の特徴は、製造業の生産工程や労務職・保安要員までも50%超が非正規社員と伝えられ、これが工場の保安体制の弱体化となり、事故が発生する一因であると言われている。


雇用機会を潰す金融庁行政(P.65)

また、若年フリーターが急速に増えており、実質失業者であるニートも含めれば、若年層の失業率は40%近いと推測されている。フリーターの生涯賃金は5200万円程度と推計されており、正規社員の4分の1で、27歳での収入が最高賃金といわれている。これでは結婚して子供を持つ安定した家庭など築けない。小泉デフレと構造改革が少子化を促進しているのである。

若年層の雇用機会を減少させている大きな原因が、金融庁の貸出資産査定方法にある。金融庁は、銀行の貸出先の資産査定をする場合に、企業の含み損を表に出させて資産査定をし、若干でも業績が思わしくないと、すぐに企業の潰しにかかる。また、人員を整理させ、新規雇用を妨害する。

戦後、日本の高い技術と雇用を支えてきたのは、中小企業であり、たとえ不況で赤字でも、将来に備えて新卒者を採用し、訓練して有為な人材に育て、景気好転のときには生産に寄与してきた。これが今日までの技術立国、日本をつくってきたのである。

こうした長年のよき気風を破壊しているのが、金融庁行政である。とくに中小企業は新規に職員を採用することが難しくなっている。含み損を表面化させて、雇用まで抑制させ、家庭の崩壊にまで追い込んでいるのが金融庁行政である。まさに「国家を破滅させる」悪政である(第3章参照)。

従来はあまり意識してこなかったROA(資産運用利率)やROE(自己資本利益率)を経営指標として重視するため、「将来のために若年層を採用しておこう」といった気風が失われてきている。日本は日本の伝統にあった独自の判断で、雇用を守り、国を守るべきであろう。


自殺者数最悪、社会不安の増加、凶悪犯罪の多発もデフレが原因(P.67)

警視庁によれば、日本の2003年の自殺者は3万4000人を突破し、はっきりしているだけでも、そのうち4分の1は「経済苦」が原因であり、そのたでもデフレによる社会的抑圧感が善良な国民までも死に追い込んでいる。とくに中小企業の経営者は、「苦しさを社員に打ち明けられないし、銀行に話せば融資を止められてしまう」と嘆いている(読売新聞、2004年7月23日)。ここでも金融庁行政の残酷ぶりがよくわかる。1960年代に交通事故の死亡率が1万人を超えたときは、政府が国を挙げて事故防止のキャンペーンを行い、交通安全の認識が広まっていった。しかし、これほど自殺者が増えていても、税府は「存ぜぬ、関知せず」だ。

デフレはさらに国内の社会不安を広げ、凶悪犯罪を激増させている。ここ3年間、警察は犯罪取り締まりの人数を7万人増員した。しかし、犯罪件数は35万件も増加し、一段と凶暴化してきている。元警視庁長官の国松孝次氏によると、「最近における犯罪の増え方は、従来の日本社会の有り様からは考えられない姿になっている」という。小泉デフレ政策は日本の伝統的な社会システムまでも渦している。これは、戦前の昭和恐慌(1930〜1931年)のときにもあった現象であり、この点からみても小泉政策は歴史の教訓を忘れてしまっている。戦前の日本は貧乏国(債務国)であった。しかし、現在の日本は世界一の金持ち国家(債権国)でありながら、自分の国で自分のカネを使おうとせず、国民生活を崩壊させている「不思議の国」で「愚かの国」である。

これでは所得税が増えるはずがない。だから、政府には大増税しか道がないのである。


景気のいい話は一部の大企業だけ、偏向する新聞情報(P.67)

こうしたなかで、新聞には「ボーナス支給額が3年連続で増えた」「設備投資は過去最高」といったニュースの見出しが躍り、いかにも経済が好調であるかのような記事がみられる。これは主に大企業を調査対象にした統計であり、中小企業は無視されている。最近ではこうした傾向が強い。

政府内の経済財政諮問会議の民間委員が、大手企業の連合である「日本経団連」の会長と優良企業の経営者の個人的な連合体である「経済同友会」の元会長で占められ、企業の99%、勤労者の98%を占める中小企業の代表である「日本商工会議所」の会頭がはずされていることも大企業偏重の傾向を強めている一因であろう。


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虚妄の構造改革の落とし穴

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

財政支出を増やせば債務負担は減少する(P.77)

1930年第における日米の政府債務の国民負担率を調べてみよう。分子の「政府債務」を分母の「名目GDP」で割ると、この数値は「財政規律」を表す。この数値が一定期間後に減少していれば、債務の国民負担は減少するのである。

アメリカのケースでは、1929年から1933年にかけて、緊縮財政で名目GDPが減少し、政府債務が増加したので、政府債務の国民負担率は急上昇した。しかし、1934年からの財政支出の増加で景気が回復し、名目GDPが上昇したために、税収が増加し、政府債務残高の伸びが鈍り、政府債務の国民負担率は減少していった。

日本の場合も同じ事がみられる。緊縮財政をとった1930年から1931年までのこの数値をみると、グラフは右肩上がりに急に上がっており、緊縮財政の強行で、政府債務の国民負担率が上昇した。しかし、1932年度からの高橋財政による財政支出の増加で景気が回復し、物価が上がり、名目GDPが増加し、税収が増えて、政府債務残高の伸びが鈍り、政府債務の国民負担率は増えなくなった。

つまり、政府が緊縮財政をとれば、名目GDPが減少し、財政赤字が拡大し、政府債務が増える。したがって、政府債務の国民負担率は右上がりに上昇する。しかし、財政支出を増加させて景気を振興すれば、分母の名目GDPが増加し、税収が増えるので、政府債務の増加が減り、分子の政府債務残高の伸びが鈍る。こうして、政府債務の国民負担率は低下していく。つまり「財政支出を増やせば債務負担率が一時的に増えることはあっても、必ず減少していく」のである。

1930年代の日米両国のデフレ脱出作成は、今日のわれわれに多くの教訓を与えている。すでに冒頭で要約したとおりで、デフレのもとでは絶対に緊縮財政をとってはならないのである。


大恐慌と同じ落とし穴に落ち込んだ現在の日本(P.79)

小泉構造改革は、以上の歴史的教訓を無視して緊縮財政を強行しており、結果は財政赤字の拡大と政府債務の増加である。日米の大恐慌時代と現在の日本との違いは、現在の日本では日本銀行が金融緩和政策をとっていること(実態は金融庁行政によって金融引き締めに近い状態である)、緊縮財政(投資関連支出の削減)といっても一挙に落とさずに徐々に削減していること、国民に蓄えがあり、国民はこれを切り崩して消費に充てていることである。これが、大恐慌のときのように一挙に名目GDPが落ち込まず、じわじわと落ち込んでいる理由である。公共投資の金額は、2000年度を100として2005年度は80まで落ち込んでおり、さらに民間設備投資額は名目ベースで2000年度を100とすれば2004年度は90にすぎず、こうした投資不足が雇用を減らしている。

その結果、名目GDPが減り、GDPデフレーター(1930年代の卸売物価に相当する)は7年連続してマイナスで推移し、財政赤字が増え、政府債務が増加している。小泉デフレと1930年代の経験を比較してみると、小泉デフレは速度が緩やかであるとはいえ、その流れは1930年代の大恐慌時代のときと同じように推移している。

1930年代の大恐慌はアメリカで3年4ヶ月、日本では2年で終わった。しかし、現在の小泉デフレは、すでに4年を経過しており、大きな「落とし穴」に落ち込んで、もがいている。貴重な1930年代の教訓を無視し続ければ、税収が激減するはずで、ここで、大増税をすれば、経済規模(名目GDP)がさらに縮小し、かえって税収が減り、さらに深い穴蔵に落ち込んでいくであろう(第4章参照)。

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大前提から「虚構」だった構造改革

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

大前提から「虚構」だった構造改革(P.81)

小泉純一郎氏の言う構造改革は、大前提から「虚構」(事実に反すること、虚妄の構築)だった。間違った前提からは、間違った結果しか生まれない。虚構のデザインのもとで構造改革を強行しているから、日本経済は20年前の税収しかあがらない経済力になってしまったのである。あらゆる面で「虚構」に満ちた虚妄の構造改革である。ここでは4点に絞って「虚構」を指摘したい。

 峺共投資はGDPの増加に寄与していない」

この言葉は、当初から小泉純一郎氏と竹中平蔵氏がよく宣伝し、マスコミも便乗して使っている。しかし、事実に反する発言であり、大間違いである。1990年代の前半から今日までのGDP成長と税収の関係をみると、積極財政の効果は税収を増加させている。問題は、効果が出始めると、すぐに緊縮財政に切り換える政策をとっていることだ。1995年と1966年度の公共投資増加の効果が出始めた1997年度には、一転して大増税を強行し、一挙に効果を霧散霧消させてしまった。

また1998年度と1999年度の公共投資が2000年度のGDPを押し上げ、税収は50.7兆円に達し、国債新規発行額を4.5兆円減額させた。これを継続すればよかったにもかかわらず、2001年度に小泉構造改革が出てきたために、効果が吹き飛んでしまった(図表2-6「財政支出増は税収を増やす」参照)公共投資のGDP成長への寄与度合いを減殺させているのは、効果が出るかでないうちに、すぐに緊縮財政に転じてしまうからである。国債は順調に消化されており、継続することには何の心配もない。

ここでアメリカの公共投資をみてみよう。連符政府の公共投資は、かなりの部分が国防費である。過去35年間の国防費支出費のGDPに占める比率をみると、国防費のGDP成長寄与度は、0.4%〜1.1%である。つまり、GDPの成長率が名目で3%とすると、そのうち、0.4から1.1%は国防費によるものだ。その上、アメリカでは州政府の予算総額のうち、6%〜7%が高速道路関連予算であり、そのほかの投資的財政支出も含めて、地方政府も公共事業に熱心に取り組んでいることがわかる(図表2-7「アメリカも公共投資が景気を支えている」参照)。

防衛費と公共投資を合計した数字でみると、日本の2004年度予算では、公共投資は7.8兆円(GDP比率で1.5%)であり、防衛費は4.9兆円(同比率で1.0%)であるから、合計12.7兆円となる。これは対GDP比率では2.5%にすぎない。アメリカの国防費のタイGDP比率は4%〜5%であるから、日本の公共投資のGDP比率はアメリカよりもはるかに小さいことがわかる。

私は、公共投資をどんどん増やせと言っているのではない。日本経済の体質として、投資を大幅に上回る預金を公共投資に回すべきであり、民間投資が伸びないときには、投資減税の活用や公共投資を増加させて、経済成長を促進すべきであると主張しているのである。民間投資がどんどん増えるようになれば、公共投資を減額していけばよい。

以上のような実態を無視して、「公共投資はGDPの増加にまったく寄与しない」という発言は事実に反する。こうした主張をした人は、アメリカの現状をよく学ぶことだ。

アメリカの未来学者であるアルビン&ハイディ・トフラー氏によれば、「GDPが年間11兆ドルを超す米国経済の中で、ほぼその3分の1にあたる約4兆ドルを、連邦と州と地方を含む政府機関が支出している」のである(読売新聞、2005年度11月6日)

(2/25付けブログもご参照ください。。。別の方法をご紹介しています)


◆峩箙圓防堽漂銚△あるから貸し出しが伸びず、デフレが長引いている。
  だから、不良債権処理を加速すべきだ」(P.84)

これは、竹中平蔵氏が2000年ごろ、大臣就任前から言っていることであり、全面的に誤りである。竹中氏の考えは、「たとえば、銀行に100億円の預金があり、全額貸し出しているとする。このうち、10億円の不良債権があると、この資金が固定し、他の成長企業に貸し出せない。だからデフレが長引いている。そこで、この不良債権を切除すれば、資金が貸し出しに回る」というものである。

しかし、日本の銀行には現在、預金が100兆円以上余っており、銀行は貸し出しを増やしたくて仕方がない。銀行は貸し出しをしなければ、預金金利すら支払えないからだ。しかし、緊縮財政によるデフレで、起業家新規事業を伸ばせないし、銀行は企業への貸し出しリスクを取れないのである。

もともと、不良債権処理は2000年度で終了していた。2003年の「経済財政白書」によれば、主要行の不良債権比率は5%に低下しており、正常な姿に戻っていたのである。ところが2001年度からの小泉デフレで不良債権比率は8.4%に跳ね上がった。しかしこれとても、銀行に資金が有り余っている以上、貸し出しを阻害する要因ではなかった。

2002年10月金融庁担当大臣に就任した竹中氏は、金融再生プログラムを発表して不良債権の加速処理を実行し、債務が多いからという理由だけで、健全な企業までも潰しにかかり、税収があがらない経済にしてしまった。間違った前提から、不良債権の加速処理を強行し、実態経済を萎縮させ、税収があがらない経済にしてしまったのである(第3章参照)。


「需要不足経済なのに供給過剰と断定して、供給サイドを削減する政策を進めてきた」(P.85)

1980年代後半から1990年にかけてのバブルの時代には、仮需要の増加がバブルの要因であり、バブルの解消には仮需要の削減が必要であった。しかし、1990年半ばですでにその調整は終わっており、需要不足が大きな課題であった。その後1997年から1999年にかけての苦節の時期はあったものの、2000年度には需要が伸び、企業間信用も200兆円に近づき、1996年並みの水準に戻っていた。2001年もこうした傾向を維持していけば、日本経済は順調に回復し。確実に拡大基調に乗っていたであろう。

GDPデフレーターは1998年からマイナスであり、これは日本経済が総合的にみて、供給よりも需要が少なく、需要不足であることを示している。しかし2001年4月からの小泉構造改革は、景気回復軌道を破壊し、伸びつつあった需要を削減する政策をとり、「問題は供給過剰にある」として、供給サイドを削減する政策を断行したのである。

この時期までに企業はすでに人員調整や過剰在庫の削減、低稼働資産の売却など、供給サイドの効率化の努力を相当してきていた。これ以上の供給削減は必要なく、需要を拡大することによって、需給のバランスをとるべき時期であった。

ところが小泉政策は、緊縮財政をとって受賞を抑制し、供給をさらに削減する方針をとった。金融庁は銀行検査を不当に厳格化させて、不良債権を次々に増加させ、債務の多い企業向け貸し出しを不良債権扱いし、収益が出て税金を払っている企業までも潰していった。こうして実体経済は疲弊し、失業者は笛、雇用機会は少なくなり、経済規模(名目GDP)は縮小し、税収が激減していったのである(第3章参照)。


虚構ぁ崋舁彑菴聞颪凌綵爐盪温佑箸靴弔帖
  公共投資の対GDP比率を中期的に引き下げていく必要がある」(P.86)

これも日本の国情と経済体質を無視した意見で、国土を疲弊させ、デフレを進行させる結果を招いている。これは、2001年1月6日に経済財政諮問会議が提案した見解を、その後の小泉内閣が閣議決定したものである。その趣旨は、「我が国の公共投資が経済に占める比率は主要先進国に比べて極めて高い水準にある。主要先進国の水準も参考にしつつ、公共投資の対GDP比率を中期的に引き下げていく必要がある」ということにある。

『図説 日本の財政 平成17年度』(木下康司編 東洋経済新報社 2005年)によれば、GDPに占める一般政府の総固定資本形成の比率の国際比較」では、日本が4.2%、フランス3.2%、アメリカ2.5%、ドイツ1.5%、イギリス1.3%であり、日本が一番高い。だからこの比率を欧米並みに下げようとするものだ。

しかし、日本の比率が高いのは当然ではないか。日本は国土の80%近くが山岳地帯で、しかも、島国で、四方八方、海に囲まれている。過去に何回も、大地震や風水害で国土を破壊され、その後の公共投資でかろうじて国土を守ってきたのである。

私はたびたびアメリカやヨーロッパ諸国を訪問し、地方を旅行する。アメリカでは山岳地帯や砂漠地帯への公共投資は実に多額で、残高も多い。とくに政府の大きな仕事は国内の国土を整備し、改善していくことだ。しかし、戦争で破壊されたこともなく、長い蓄積の上に立っている。それでも一般政府の総固定資本形成の比率は、GDP比で2.5%もある。ドイツは、日本と同じように戦争で国土を破壊されたとはいえ、平地が国土の大部分を占めており、島国で山岳国家の日本とは比較にならない。日本と同じレベルで比較対照すること自体、非常識ではないか。

この閣議決定は、取り消すべきである。とくに強く指摘したいことは、経済財政諮問会議が日本の経済体質や国土の特徴を考慮せずに、こうした提案をしたことである。この後で述べるように、経済財政諮問会議、とくにその民間委員の提言には、日本にとって有益なものはほとんどない。この提言はその最たるものである。極めて非常識は反国家的提案である。

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日本を蝕む「年次改革要望書」

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

アメリカの対日要望書(P.89)

日本の新聞やマスコミ情報では、アメリカから日本政府に対して、「毎年年次改革要望書」が来ていることは報じられていない。しかし最近、こうした事実をまとめた本が出版され、脚光を浴びている。『拒否できない日本−アメリカの日本改造が進んでいる』(関岡英之著、文芸新書、2004年)である。
(略)
郵政公社の民営化要求は、1995年から出ており、とくに2004年から強くなっている。アメリカが簡易保険と郵便貯金の資金を使いたいからだ。
こうした背景により、アメリカからの金融システムと会計制度に関する要望を受けて、橋本元首相が発表したのが1996年11月1日の「金融大改革」(金融ビッグバン)である。

[参考]
 「直言」増刊・完全版「年次改革要望書」 

 在日アメリカ大使館「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」2003年版 ※最新のものはPDFで提供

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この「年次改革要望書」‥おっそろしいシロモノです。何でも要望、と訳したのは日本側の思いやり?らしく、要求、命令といった方が近いらしい‥。

中身も郵政民営化をはじめとして、通信、医療、金融など多岐にわたり、日本をああしろ、こうしろ、と‥。これを読むとホント悲しくなります。。。日本ってアメリカの植民地だったのね、と思います。

郵政民営化もここで要求された通りに事が運ばれていきました‥。
マスコミが祭り上げた『小泉劇場』。熱狂した国民が大多数の中、こんなことを許しては大変だ!と反対していた議員は『抵抗勢力』とされ‥。

ああホントに無知って怖い‥。


読んだときに怒りまくり、アメリカという国に対して初めて疑問をもつキッカケになったのが、前述の関岡英之氏と吉川元忠氏の共著による『国富消尽−対米隷従の果てに−』2006年01月発行 でした。1年ほど前に書いたものがあったので、以下ご紹介。

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『国富消尽−対米隷従の果てに−』

第1章 着々と進む日本企業買収の環境整備―二〇〇五年M&A狂騒曲の教訓
第2章 外資によるM&Aの新時代―危機に立つ日本的経営
第3章 郵政民営化の真実―狙われる日本の個人金融資産
第4章 深く静かに進む米国の日本改造―司法・医療・教育まで米国化されるのか
第5章 アメリカの対日圧力を振り返る―アメリカ型システムの押しつけはこうして制度化した
第6章 二十一世紀の日米金融バトル―日本は「マネー敗戦」の構造から抜け出せるか
第7章 日本のポスト・グローバリズム戦略―アングロ・サクソン的価値観への対抗軸を求めて

全国民、必読の書だと思います‥!!
なぜか?

日本を再生するための改革だから、痛みを伴っても我慢しなければいけない、
それが、この閉塞感から逃れられる唯一の道‥だから、みんな小泉さんを支持した。
よりよい日本の未来を信じて。

‥というのが大嘘だったということがわかるから。

第3章 郵政民営化の真実―狙われる日本の個人金融資産

金融不安に襲われても金融パニックが起きなかったのは、日本の金融資産の1/4が郵貯・簡保にあったから。日本国民の最後の拠り所であった。
郵貯があるから、国債の発行が多くなったわけではなく、国債を出さざるを得なかったから発行されただけ。
資金が流れるのが問題ならば、それを改めるべきで、郵政公社を解体する必要はない。

にもかかわらず、小泉首相も竹中大臣も4分社化に徹底的にこだわった。
なぜなら、それがアメリカの要求だから。
分社化した郵貯や簡保に対してM&Aをやりたいから。
簡保の顧客情報は宝の山。逆に言うと日本の個人情報は全てアメリカに筒抜けになる。

今まで運用面を財務省に押さえられていた郵貯のビジネスモデルはまだ見えていない。
運用先が国債や財投債では採算がとれるはずがない。


米国保険業界の露骨な圧力

米国政府の『年次改革要望書』の中で標的にされているのは保険。
保険は決まった額の保険料を長期間払い続けるため、その日暮らしの発展途上国では成立しない。
ビジネスとして成立しているのは、先進国に限られ、そのうち米国、イギリス、ドイツ、フランスの5ヶ国だけで世界の保険の8割を占める。日本は世界第2位の保険大国。農耕民族としてのメンタリティのせいか、生命保険の加入率がきわめて高い。逆に中国やインドでは保険より金の延べ棒を買いたがる。

日本の民間保険市場は早くから米国の市場解放要求のターゲットにされてきた。
1996年、日米保険協議の再合意が成立。外資の既得権益を保護するため、ガン保険、医療保険、傷害保険の3つの商品において、日本の保険会社は約4年間取り扱いを禁止された(!)

米国の民間格付け会社の傍若無人さも目に余る。
スタンダード・アンド・プアーズは、アリコジャパン、AIGエジソン生命、アメリカンホームダイレクトを日本生命や東京海上日動よりも上位に格付けしている。
そもそもAIGエジソン生命は、1999年に経営破綻した東邦生命を買収してできたもの(!)
AIGスター生命は、2000年に経営破綻した千代田生命を買収したもの(!!)


全て外資に買収された破綻生保

2000年前後に日本の中堅、中小の生命保険会社の経営危機・破綻が相次いだが、その全てが外資系保険会社に吸収されている。
経営破綻の一因として1995年の保険業法の大改正がある。
経営の透明性を高めるため、という大義名分で導入された「ソルベンシー・マージン」保険会社の支払い能力を測るモノサシ。
これ自体はケッコウなことだが、導入のタイミングが最悪。
バブル崩壊のまっただ中で資産の含み損がどんどん膨らんでいく中、こんな基準を導入したらどうなるか、素人でもわかる。

週刊誌やマネー雑誌がこぞって生保特集を組み、各社のソルベンシー・マージンのランキングを喧伝。
支払い能力に不安ありとされた保険会社には解約が殺到し、次第に体力が弱まり、経営危機に陥り、最終的には外資に買収されてしまった。


BIS規制の嘘

BIS規制とは銀行の自己資本比率規制のこと。8%を下回った銀行には国際金融業務を認めない、というもの。
米英がこのBIS規制を持ち出してきたとき、日本は8%の基準をクリアすることが難しかったため、自己資本の定義に株の含み益の一定部分を算入する特例を認めてくれるよう働きかけた。
当時はまだバブルだったため、日本はそれで何とかクリアできると思った。

ところが、その後バブルが崩壊し、日本の銀行は自己資本比率の維持に苦慮するようになった。
結局、米英の思惑通り、次々と国際金融市場から撤退せざるをえなくなり、日本国内においても貸し渋り、貸しは餓死を引き起こし、不良債権問題を拡大した。

1980年代後半、米国の巨額の財政赤字を支えるために、米国債の買い支え役を担い「ザ・セイホ」ともてはやされた日本の生命保険会社は、プラザ合意以降の急激な円高で軒並み莫大な為替差損を抱え込んだ。
売却すれば、損失が表面化するため、売りたくても売れないジレンマに陥った。

その時、米国の市場関係者は「飴玉をとろうとして、ビンにてを突っ込んだら抜けなくなって、ベソをかいているベビーちゃんだ」と日本の生保を嘲笑した(!)


郵政民営化の本質は官営保険の対米市場開放問題

日本の民間保険市場は過去20年以上に渡って、米国勢にさんざん蹂躙されてきた。
改めて日本を見渡せば、カナダのGDPに匹敵する簡易保険はまだ米国の手つかずのまま横たわっていた。

もともと簡保は、民間の生保に加入できない低所得者にも保険というセーフティネットを提供する目的として大正5年につくられたもので、ビジネスというよりは日本社会の安定化装置ともいうべきもの。
それがアメリカには、単なる市場としてしか映らない。
そして米国人は安定化装置をはずした後に日本社会がどうなるかということにはいっさい関心がない。
どうなろうとそれは日本人の自己責任、というわけです。

竹中大臣が作った民営化後の採算見通しは非常に採算が良くなっている。
なぜいいかというと、外国で運用することになっているから。
つまり、ドルの世界に組み込まれることがすでに前提となっている。
アメリカの浪費の穴埋めになるわけだから、確実に日本に戻ってくるという保証はない。


郵政民営化法案に反対した自民党議員こそ真の愛国者

郵政民営化問題の本質を最も鋭く認識した上で、日本国民の代表として誠実に行動したのは、反対票を投じた自民党の国会議員。
旧通産省出身の小林興起氏、旧大蔵省出身の小泉龍司氏。
両氏は郵政族などではないし、むしろ旧郵政省と激しくつばぜり合いを演じていた立場。
両氏が基盤としていた関東は郵便局への依存が低く、有権者はさほど関心がなかった。
そのため、逆に「何で小泉さんの足を引っ張るの」と小泉ファンからたしなめられてしまう、と苦慮していた。
こうした理由を考えれば、郵政利権のためでも、選挙区事情のためでもなかったことは明白。
保身だけを考えればおとなしく賛成票を投じていれば済んだのだ。
外務省出身の城内実氏は郵政民営化準備室がわずか1年あまりの間に米国の関係者と17回も面談を行っていたという重大な証言を竹中大臣から引き出した。
城内氏は小泉総理が所属する森派でただひとり反対票を投じた。

小林興起氏、小泉龍司氏、城内実氏はいずれも中央官庁出身なだけに、複雑な法律の条文に潜むリスクを見抜くだけの高いリテラシーを持っていた。
そして自らの信念を貫いて行動した結果、権力の逆鱗に触れ、見せしめとして理不尽ないじめを受け、国政の場から追放されてしまった。

選挙後に城内氏、小林氏は「自民党で反対票を投じたのは、法案の中味を一番よく勉強した議員達だった」と述べている。
それをマスコミは自ら法案の中身や『年次改革要望書』を調べようともせず、反対した議員たちに「族議員」や「守旧派」などといった無責任なレッテルを貼って、悪役に仕立て上げ、世論を誤った方向に誘導したのだ。

国民の代表として真剣に審議に取り組み、誠実に責務を果たそうとした国会議員が報われるどころか、理不尽にも粛清されてしまうところに、今の政治とマスメディアの底知れない病理がある。
こんな異常な状況では、まともな国会議員が日本からいなくなってしまう。


大政翼賛会化した日本のマスメディア

2005年の衆院総選挙の真相は、官邸とマスメディアが演出したような、「改革派」対「守旧派」ではなく、「対米迎合派」対「国益擁護派」の闘いであった。
しかし、結局真の国益を守ろうとした勇気ある国会議員たちの警鐘は単細胞的常套句の大合唱にかき消されてしまった。

「政治はわかりやすくなければだめだ」というのは愚衆政治のきわみであって、成熟した民主国家なら、本来恥ずかしくて真顔で言えるようなことではない。
日米保険協議以来の長きにわたるいきさつのある大問題を説明責任も果たさず、ただ「イエスかノーか」という二者択一に矮小化して国民に信を問う、というのは容認しがたい欺瞞行為である。


他に狙われているのは、医療、司法、教育の分野だそうです。
ああ‥そういえば陪審員制度、始まりますよね‥。それ、民事じゃなく、刑事だけらしいっすよ。米国企業が訴えられないように‥!

教育も、日本人の詰め込み教育を批判していたのは誰でしたっけ‥?もしかして、それもアメリカに刷り込まれた結果ですかね‥?
ゆとり教育、といって浮かれた結果、全体として学力が落ちたとの発表はあちこちで出ていましたよね。
高校では授業数の絶対数が足りなくなって、必修科目の未履修が起こっているし。

日本の医療制度は先進国中で最も安く、WHOから世界第1位の評価を得ているそうです。一人あたりの医療費はアメリカ59万円、日本31万円です。GDP比にしてもアメリカ13.9%、日本7.8%です。

この現実‥覚えていてくださいね。
そのうち日本の医療費は高すぎる、よって自由化を!競争原理を!とマスコミの論調が始まるかもしれません。こわっっ‥!

もう、いいですよね‥アメリカに従わなくても。

以前、ユーロのようにアジア通貨圏を言い出したら、アメリカは即座にそれをたたきつぶしたそうです。でも今‥もう一度。アジア地域をまとめるための調整役としての日本であるべき、と著者は最後に訴えています。ぜひご一読を!!

−−−−−

‥とここまでが、以前に書き留めておいたもの。
そういえば城内実氏は衆院選静岡7区で立候補を表明しましたね。ぜひ、また国政に戻っていただきたいと思います。
城内実オフィシャルサイト http://www.m-kiuchi.com/

で、いま。やっぱりきました、医療。
『日本の医療はレベルが低く、情報も開示せず、効率も悪い。だから医療レベルをアメリカ並みに上げて、競争を持ち込み無駄を省かせよう』という勢力が徐々に強くなっていたそうです。‥そういえばそんな雰囲気、ここ数年確かにありました。
その結果、ですか‥? 最近ニュースにかなりの頻度で出てくる「医療崩壊」。

そういえばアメリカによく移植技術とか受けにいく、というニュースが流れますよね。アメリカの医療の方が進んでるのね、って洗脳されてませんでした?
確かにアメリカは金持ちは最高の医療を受けられます。しかし、国民健康保険もなく、高額な診療費が払えないため病院に行けない人も5千万人いるそうです。

イギリスはかかりつけ医がきめられており、それ以外の医師には紹介状がないとみてもらえない制度。日本の3時間待ち3分診察、どころではなく、「待っていても診てもらえない」。たとえガンの人であっても半年、1年待ちという場合もあるとか。

アメリカの現状を詳しく紹介した本が出ていたので紹介します。
アメリカはかつての「古き良きアメリカ」から、いつの間にかすっかり変わってしまいました。。。
今のアメリカの現状を理解せずに、ただただアメリカを妄信する政府、マスコミによって、日本がとんでもない方向に誘導されているような気がしてなりません。

−−−−−

岩波新書
ルポ 貧困大国アメリカ
ISBN:9784004311126 (4004311128)

貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。
急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。
追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。
弱者を食いものにし一部の富者が潤ってゆくという世界構造の中で、それでもあきらめず、この流れに抵抗しようとする人々の「新しい戦略」とは何か。

第1章 貧困が生み出す肥満国民(新自由主義登場によって失われたアメリカの中流家庭;なぜ貧困児童に肥満児が多いのか;フードスタンプで暮らす人々;アメリカ国内の飢餓人口)

第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民(人災だったハリケーン・カトリーナ;「民営化」の罠;棄民となった被災者たち;「再建」ではなく「削除」されたニューオーリンズの貧困地域;学校の民営化;「自由競争」は生み出す経済難民たち)

第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々(世界一高い医療費で破産する中間層;日帰り出産する妊婦たち;競争による効率主義に追いつめられる医師たち;破綻していくアメリカの公的医療支援;株式会社化する病院;笑わない看護婦たち;急増する医療過誤;急増する無保険者たち)

第4章 出口をふさがれる若者たち(「落ちこぼれゼロ法」という名の裏口徴兵政策;経済的な徴兵制;ノルマに圧迫されるリクルーターたち;見えない高校生勧誘システム;「JROTC」;民営化される学資ローン;軍の第二のターゲットはコミュニティ・カレッジの学生;カード地獄に陥る学生たち;学資ローン返済免除プログラム;魅惑のオンライン・ゲーム「アメリカズ・アーミー」;入隊しても貧困から抜け出せない;帰還後にはホームレスに)

第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」(「素晴らしいお仕事の話があるんですがね」;「これは戦争ではなく派遣という純粋なビジネスです」;ターゲットは世界中の貧困層;戦争で潤う民間戦争請負会社;見えない「傭兵」一元化される個人情報と国民監視体制;国民身分証法;州兵としてイラク戦争を支えた日本人:「これは戦争だ」という実感)


一握りの富める者と膨大な数の貧しい人々・・・。急激に進むアメリカ社会の二極化の足元で何が起きているのか。人々の苦難の上でいったい誰が暴利をむさぼっているのか。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。

教育、医療、防災、そして戦争まで……極端な「民営化」の果てにあるものは? 米国の後を追う日本へ海の向こうから警告する!
高い乳児死亡率。一日一食食べるのがやっとの育ち盛りの子どもたち。無保険状態で病気や怪我の恐怖に脅える労働者たち、選択肢を奪われ戦場へと駆り立てられていく若者たち──尋常ならざるペースで進む社会の二極化の足元でいったい何が起きているのか? 人々の苦難の上で暴利をむさぼるグローバル・ビジネスの実相とはいかなるものか。追いやられる側の人々の肉声を通して、その現状に迫る。


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グローバリズムは冷戦終了後のアメリカの世界戦略

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

グローバリズムは冷戦終了後のアメリカの世界戦略(P.88)

日本で、グローバライゼーションとかグローバリズムという言葉が頻繁に使われるようになってから、ほぼ10年が経過した。この2つの言葉は、今でもよく混同して使われる。しかし中身が違う。

グローバライゼーションとは、通信技術の発達で地球が狭くなり、衛星を利用した電波で、情報が一挙に地球の隅々まで行き渡り、これにともなって地球規模での一体化が随所でみられるようになったことである。

グローバリズムというのは、1990年代に入り冷戦に勝ったアメリカが世界を支配していくための戦略として、「アメリカで行われていてることはすべてよいことで、国民の幸福につながる」という謳い文句で、各国に伝達し、経済の自由化と規制緩和を要求してきたことである。

その伝播の方法は、アメリカで学んだその国の識者やマスコミ(とくにテレビ、新聞)を活用して、アメリカニズムの良さを宣伝していくもので、その基本は「規制緩和や自由化を推進していけば、市場が拡大し、必ずその国の利益になる。国家主義を超えた経済活動や個人的行動が世界的に広がり、各国とも民主主義、自由主義、市場経済を享受でき、それがさらに国益を生み出す」という考えである。

これは一種のイデオロギー(理念、哲学)である。規制緩和、金融の自由化、取引の拡大によってアメリカに利益が落ちる仕組みをつくっていこうとするものである。ドル価値は、その国との政策協定で安定化していくとの考えである。こうしてアメリカは世界各国に構造改革を要求してきたのである。

日米関係を振り返ると、1980年代の日米貿易摩擦、その後の日本構造協議などで、貿易摩擦の運用が協議された。しかし、アメリカと日本の貿易赤字は解消されず、貿易赤字を解消するためには、日本の社会構造そのものを変えるべきだとする方向に変わった。

当時、アメリカが日本に構造協議を要求してきたときに、日本政府も世論も批判的であった。ところが、1990年代に入り、アメリカは世界各国にグローバリズムを宣伝し、構造改革を要求していきた。日本では当初、国内では批判的であった。

しかし、不況が長引くにつれて、日本のエコノミストや経済評論家が構造改革論を唱え始めた。こうして、日本にとって最悪のタイミングで、アメリカ流のグローバリズムに迎合した構造改革論が出てきたのである。

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「資本主義は花火のように爆発する!」で注目を浴びている、ラビ・バトラ博士が日本が進むべき道について、1996年(!)に語ったインタビューを発見しましたので転載します。なんと「アメリカの経済学者の話や、自由貿易提唱者の話を聞いてはいけない」と断言されています。

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新しいシステム−現代を問う(11)1996年2月 より抜粋
http://www.mskj.or.jp/chinika/9602cnk3okada.html

自由競争は消費者にとってマイナスである

岡田
 先生のお話は、現在、日本で議論されているものとは全く反対のものですね。まず、終身雇用制は完全に崩壊の一途をたどっていますし、規制緩和は日本経済の再活性化を図るにはどうしても必要だという論調になっています。その他の保護の問題も同じです。

バトラ
 先ほど、私は「保護」と言いましたが、これは国内での保護主義という意味ではなくて、外国との競争に対する保護主義という意味です。つまり「競争力のある保護主義」というものです。「競争力のある保護主義」というのは、国内市場では競争は非常に厳しいけれども、対外国においてはそれほど厳しくないというものです。外国との競争が激化してもいいものは2つだけです。技術分野における技術の移転と、金融上の投資、この2つだけです。私は、テレビをつくっているような家電業、つまり労働集約的な産業は低賃金化から保護すべきだと考えています。

 これに対して、保護主義は消費者のマイナスとなり、自由競争は消費者を助けるという論がありますが、そういう議論は政府を運営するのにお金がかからない、コストがかからないというときにのみ有効です。  わかりやすい例を挙げましょう。

 たとえば牛肉1キログラムを200円で輸入すると仮定します。ところが政府が輸入関税を50%掛けるので国内でそれを買おうとすると300円になります。ここで消費者は1キログラムの牛肉に対して300円支払い、そのうち100円を政府が歳入に入れます。

 そこでよく言われている議論は、自由貿易にして輸入品に関税を掛けなければ消費者は喜ぶ、消費者のプラスになるというものです。

 しかし、私の話を聞いていただければ、この論拠が間違っていることがすぐにわかるはずです。関税が廃止されたとしましょう。すると日本の消費者は1キログラムの牛肉を購入するのに200円を払います。したがって政府にはそれまでは入っていた100円の歳入が入ってこなくなります。政府は入ってこなくなった100円をどこからか調達しなければなりません。そこで国民に所得税あるいは何らかの形で税金を課し、徴収します。ですから、消費者のプラスになるというのは、政府の運営が無料、あるいは税金の形で徴収せず、ほかに何か財源を持つときに限っての話です。

 いまは関税を撤廃したらどういうことが起こるのかという視点で話しましたが、それはまた、政府が産業、たとえば農業を保護するのは少しも悪くないということでもあります。仮に政府が保護しなかった場合、何が起こるかと言いますと、農業に従事する人々はより貧しくなり、国は国庫助成金か、あるいは支援金といった形で、何らかの財政的援助をしなければならなくなります。するとそのお金はまた消費者からか、あるいはどこかの財源から税金という形で取ってこなければなりません。そして、そういう場合、必ずしわ寄せがくるのが消費者なのです。

 ですから消費者に利益をもたらすには、ある程度、政府による農業、産業の保護が必要です。いまのところ、日本はまだまだつりあいのとれている経済状態ですけれど、アメリカのほうは完全に崩壊しています。それで、そのバランスの崩れたアメリカで一体何が起こっているでしょう。貧富の差はますます激しくなり、ホームレスと呼ばれる人々が町中に溢れています。

 とにかく日本は、アメリカの経済学者の話を聞いたり、自由貿易提唱者の話を聞いたりせず、成功した自身の歴史を振り返って、それを再度、踏襲していくべきです。


アメリカの消費者もハッピーにはならなかった

岡田
 最近、日本では、自由貿易とか規制緩和というのが時代の潮流ですので、先生の理論はほんとうに新鮮です。とはいえ、現実はすでにそれとは反対の流れにあり、衣料品や食料品といった、いわゆる労働集約的な産業はほとんど海外で生産するか、あるいは海外からそのまま買うという形で日本人は生活しています。そしてこれはそのまま産業の空洞化につながり、有力企業はどんどん海外に出ています。

バトラ
 ええ、ですから私が強調しているのはまさにその点です。「日本よ、日本の国民よ目覚めよ」ということなのです。60年代にアメリカの経済学者が、国とアメリカの国民に対して同じことを約束しました。
 「自由貿易を導入し、米を輸入すれば、アメリカの生産性は上がり、人々は効率よく働けるようになり、物価は下がり、消費者はハッピーになる」。

 60年代のアメリカの経済学者はこのように言いました。確かにひとつを除いてすべて、彼らの言ったとおりになりました。それは何か。消費者はよりハッピーにはならなかった、のです。

 なぜ消費者はハッピーにならなかったのか。確かに物価は下がりました。しかし、物価が下がる以上に消費者の賃金は上昇しなかった。そういう意味で、関税もある程度下げられました。しかし、その分、所得税として徴収された。ですから消費者はハッピーにはならない。どうして物価が下がったのに実質賃金はそれ以上に増えなかったのかと言いますと、政府が製造業を保護しないために、外国との競争に負けてしまったからです。

 結局、国の経済バランスが取れていなければ、どんな成功物語も存在しません。

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