<< 虚妄の構造改革の落とし穴 | main | 外資の利権を誘導・死守する『外資族』 >>

スポンサーサイト

  • 2008.12.16 Tuesday
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


大前提から「虚構」だった構造改革

『増税が日本を破壊する〜本当は「財政危機ではない」これだけの理由〜』菊池英博 著 2005年12月1日発行 より

大前提から「虚構」だった構造改革(P.81)

小泉純一郎氏の言う構造改革は、大前提から「虚構」(事実に反すること、虚妄の構築)だった。間違った前提からは、間違った結果しか生まれない。虚構のデザインのもとで構造改革を強行しているから、日本経済は20年前の税収しかあがらない経済力になってしまったのである。あらゆる面で「虚構」に満ちた虚妄の構造改革である。ここでは4点に絞って「虚構」を指摘したい。

 峺共投資はGDPの増加に寄与していない」

この言葉は、当初から小泉純一郎氏と竹中平蔵氏がよく宣伝し、マスコミも便乗して使っている。しかし、事実に反する発言であり、大間違いである。1990年代の前半から今日までのGDP成長と税収の関係をみると、積極財政の効果は税収を増加させている。問題は、効果が出始めると、すぐに緊縮財政に切り換える政策をとっていることだ。1995年と1966年度の公共投資増加の効果が出始めた1997年度には、一転して大増税を強行し、一挙に効果を霧散霧消させてしまった。

また1998年度と1999年度の公共投資が2000年度のGDPを押し上げ、税収は50.7兆円に達し、国債新規発行額を4.5兆円減額させた。これを継続すればよかったにもかかわらず、2001年度に小泉構造改革が出てきたために、効果が吹き飛んでしまった(図表2-6「財政支出増は税収を増やす」参照)公共投資のGDP成長への寄与度合いを減殺させているのは、効果が出るかでないうちに、すぐに緊縮財政に転じてしまうからである。国債は順調に消化されており、継続することには何の心配もない。

ここでアメリカの公共投資をみてみよう。連符政府の公共投資は、かなりの部分が国防費である。過去35年間の国防費支出費のGDPに占める比率をみると、国防費のGDP成長寄与度は、0.4%〜1.1%である。つまり、GDPの成長率が名目で3%とすると、そのうち、0.4から1.1%は国防費によるものだ。その上、アメリカでは州政府の予算総額のうち、6%〜7%が高速道路関連予算であり、そのほかの投資的財政支出も含めて、地方政府も公共事業に熱心に取り組んでいることがわかる(図表2-7「アメリカも公共投資が景気を支えている」参照)。

防衛費と公共投資を合計した数字でみると、日本の2004年度予算では、公共投資は7.8兆円(GDP比率で1.5%)であり、防衛費は4.9兆円(同比率で1.0%)であるから、合計12.7兆円となる。これは対GDP比率では2.5%にすぎない。アメリカの国防費のタイGDP比率は4%〜5%であるから、日本の公共投資のGDP比率はアメリカよりもはるかに小さいことがわかる。

私は、公共投資をどんどん増やせと言っているのではない。日本経済の体質として、投資を大幅に上回る預金を公共投資に回すべきであり、民間投資が伸びないときには、投資減税の活用や公共投資を増加させて、経済成長を促進すべきであると主張しているのである。民間投資がどんどん増えるようになれば、公共投資を減額していけばよい。

以上のような実態を無視して、「公共投資はGDPの増加にまったく寄与しない」という発言は事実に反する。こうした主張をした人は、アメリカの現状をよく学ぶことだ。

アメリカの未来学者であるアルビン&ハイディ・トフラー氏によれば、「GDPが年間11兆ドルを超す米国経済の中で、ほぼその3分の1にあたる約4兆ドルを、連邦と州と地方を含む政府機関が支出している」のである(読売新聞、2005年度11月6日)

(2/25付けブログもご参照ください。。。別の方法をご紹介しています)


◆峩箙圓防堽漂銚△あるから貸し出しが伸びず、デフレが長引いている。
  だから、不良債権処理を加速すべきだ」(P.84)

これは、竹中平蔵氏が2000年ごろ、大臣就任前から言っていることであり、全面的に誤りである。竹中氏の考えは、「たとえば、銀行に100億円の預金があり、全額貸し出しているとする。このうち、10億円の不良債権があると、この資金が固定し、他の成長企業に貸し出せない。だからデフレが長引いている。そこで、この不良債権を切除すれば、資金が貸し出しに回る」というものである。

しかし、日本の銀行には現在、預金が100兆円以上余っており、銀行は貸し出しを増やしたくて仕方がない。銀行は貸し出しをしなければ、預金金利すら支払えないからだ。しかし、緊縮財政によるデフレで、起業家新規事業を伸ばせないし、銀行は企業への貸し出しリスクを取れないのである。

もともと、不良債権処理は2000年度で終了していた。2003年の「経済財政白書」によれば、主要行の不良債権比率は5%に低下しており、正常な姿に戻っていたのである。ところが2001年度からの小泉デフレで不良債権比率は8.4%に跳ね上がった。しかしこれとても、銀行に資金が有り余っている以上、貸し出しを阻害する要因ではなかった。

2002年10月金融庁担当大臣に就任した竹中氏は、金融再生プログラムを発表して不良債権の加速処理を実行し、債務が多いからという理由だけで、健全な企業までも潰しにかかり、税収があがらない経済にしてしまった。間違った前提から、不良債権の加速処理を強行し、実態経済を萎縮させ、税収があがらない経済にしてしまったのである(第3章参照)。


「需要不足経済なのに供給過剰と断定して、供給サイドを削減する政策を進めてきた」(P.85)

1980年代後半から1990年にかけてのバブルの時代には、仮需要の増加がバブルの要因であり、バブルの解消には仮需要の削減が必要であった。しかし、1990年半ばですでにその調整は終わっており、需要不足が大きな課題であった。その後1997年から1999年にかけての苦節の時期はあったものの、2000年度には需要が伸び、企業間信用も200兆円に近づき、1996年並みの水準に戻っていた。2001年もこうした傾向を維持していけば、日本経済は順調に回復し。確実に拡大基調に乗っていたであろう。

GDPデフレーターは1998年からマイナスであり、これは日本経済が総合的にみて、供給よりも需要が少なく、需要不足であることを示している。しかし2001年4月からの小泉構造改革は、景気回復軌道を破壊し、伸びつつあった需要を削減する政策をとり、「問題は供給過剰にある」として、供給サイドを削減する政策を断行したのである。

この時期までに企業はすでに人員調整や過剰在庫の削減、低稼働資産の売却など、供給サイドの効率化の努力を相当してきていた。これ以上の供給削減は必要なく、需要を拡大することによって、需給のバランスをとるべき時期であった。

ところが小泉政策は、緊縮財政をとって受賞を抑制し、供給をさらに削減する方針をとった。金融庁は銀行検査を不当に厳格化させて、不良債権を次々に増加させ、債務の多い企業向け貸し出しを不良債権扱いし、収益が出て税金を払っている企業までも潰していった。こうして実体経済は疲弊し、失業者は笛、雇用機会は少なくなり、経済規模(名目GDP)は縮小し、税収が激減していったのである(第3章参照)。


虚構ぁ崋舁彑菴聞颪凌綵爐盪温佑箸靴弔帖
  公共投資の対GDP比率を中期的に引き下げていく必要がある」(P.86)

これも日本の国情と経済体質を無視した意見で、国土を疲弊させ、デフレを進行させる結果を招いている。これは、2001年1月6日に経済財政諮問会議が提案した見解を、その後の小泉内閣が閣議決定したものである。その趣旨は、「我が国の公共投資が経済に占める比率は主要先進国に比べて極めて高い水準にある。主要先進国の水準も参考にしつつ、公共投資の対GDP比率を中期的に引き下げていく必要がある」ということにある。

『図説 日本の財政 平成17年度』(木下康司編 東洋経済新報社 2005年)によれば、GDPに占める一般政府の総固定資本形成の比率の国際比較」では、日本が4.2%、フランス3.2%、アメリカ2.5%、ドイツ1.5%、イギリス1.3%であり、日本が一番高い。だからこの比率を欧米並みに下げようとするものだ。

しかし、日本の比率が高いのは当然ではないか。日本は国土の80%近くが山岳地帯で、しかも、島国で、四方八方、海に囲まれている。過去に何回も、大地震や風水害で国土を破壊され、その後の公共投資でかろうじて国土を守ってきたのである。

私はたびたびアメリカやヨーロッパ諸国を訪問し、地方を旅行する。アメリカでは山岳地帯や砂漠地帯への公共投資は実に多額で、残高も多い。とくに政府の大きな仕事は国内の国土を整備し、改善していくことだ。しかし、戦争で破壊されたこともなく、長い蓄積の上に立っている。それでも一般政府の総固定資本形成の比率は、GDP比で2.5%もある。ドイツは、日本と同じように戦争で国土を破壊されたとはいえ、平地が国土の大部分を占めており、島国で山岳国家の日本とは比較にならない。日本と同じレベルで比較対照すること自体、非常識ではないか。

この閣議決定は、取り消すべきである。とくに強く指摘したいことは、経済財政諮問会議が日本の経済体質や国土の特徴を考慮せずに、こうした提案をしたことである。この後で述べるように、経済財政諮問会議、とくにその民間委員の提言には、日本にとって有益なものはほとんどない。この提言はその最たるものである。極めて非常識は反国家的提案である。

JUGEMテーマ:政治



スポンサーサイト

  • 2008.12.16 Tuesday
  • -
  • 13:04
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
管理者の承認待ちコメントです。
  • -
  • 2011/02/23 4:11 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
 
本当の『借金時計』はこちら!
国の借金とともに、 国の金融資産 個人金融資産をリアルタイムで表示!
[借金時計・改良版]


人気ブログランキングへ

selected entries
categories
archives
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
recommend
links
 
 
 
無料カウンターTeria
sponsored links
recent comment
  • 成果主義は企業を破滅させる(2)
    コンサル嫌い (06/16)
  • 赤字国債の新規発行解消・投資以外の財政支出の削減
    KEI (04/17)
  • 日本を蝕む「年次改革要望書」
    zaisei (04/03)
  • 日本を蝕む「年次改革要望書」
    n (04/02)
  • 日本を蝕む「年次改革要望書」
    n (04/02)
  • ペイオフ完全実施は金融システム破壊の起爆剤
    zaisei (03/28)
  • ペイオフ完全実施は金融システム破壊の起爆剤
    aaa (03/28)
recent trackback
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM