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  • 2008.12.16 Tuesday
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「構造改革」とは何だったのか

昨日ご紹介した野口教授は、「構造改革」とは何だったのか、をとてもわかりやすく説明されています。

「経済学を知らないエコノミストたち」野口旭 著 2002年6月発行 より

構造改革とマクロ経済政策(P.46)
(略)

いわゆる「構造改革論」に対する私の批判は、「構造改革とマクロ政策の政策割り当てを取り違えるべきではない」ということに尽きる。

つまり、構造改革は構造問題を解決するための処方箋であり、マクロ経済政策はマクロ経済の安定化、すなわち景気の調整のための処方箋ということである。

そして、その観点からすれば、「構造改革なくして景気回復なし」というスローガンは倒錯としかいいようがないのである。

端的にいえば、構造改革とは、資産配分の効率性改善へのインセンティブ(誘因)を生み出すような各種の制度改革のことである。

たとえば、公的企業の民営化、政府規制の緩和、貿易制限の撤廃、独占企業の分割による競争促進などがそれにあたる。

それらは、一国の希少な生産資源、すなわち資本や労働などの、より適正かつ効率的な利用をうながし、潜在GDPないし潜在成長率の上昇に寄与する。

つまり構造改革とは、経済の効率性向上をつうじたサプライサイド(供給側)の強化策である。

それに対して、現実の成長率が潜在成長率と乖離しているときに必要になるのが、マクロ経済政策である。

現実成長率が潜在成長率を下回るということは、経済全体の総需要が総供給(=潜在GDP)に対して不足していることを意味する。

つまり、デフレ・ギャップが存在しており、デフレと失業が発生する。それが「不景気」である。

逆に総需要が総供給を上回り、インフレ・ギャップが存在するときには、インフレが発生する。それが「景気過熱」である。

マクロ経済政策とは、総需要の調整によってこのGDPギャップを縮小させ、適正なインフレ率と失業率(自然失業率)を達成し、さらにそれを維持する政策である。

換言すれば、現在成長率を潜在成長率に近づけ、景気を平準化させ、所得、物価、失業率を安定化させるのが、マクロ経済政策の役割である。

この両者の関係は、マクロ経済学の基本的枠組みの一つである総需要・総供給(AD-AS)分析を用いることで、容易に理解できる(「キーワード解説3」参照)。

潜在GDPとは、長期総供給曲線に対応するGDPであり、それと現実GDPとの差が、デフレ・ギャップである。このデフレ・ギャップが拡大すればするほど、物価は下落し、失業が拡大する。

これはまさに、90年代の日本経済そのものである。

重要なのは、この状況でいくら「構造改革」を行っても、デフレの阻止や失業の解消にはつながらないということである。

上述のように、構造改革とは潜在GDPを拡大させる政策であり、それは総需要・総供給分析の枠組みでいえば、長期供給曲線を右にシフトさせるということに他ならない。

その場合、総需要が一定であれば、デフレ・ギャップは確実に拡大するから、デフレと失業はさらに深刻化する可能性が高いのである。

もちろん、構造改革と同時に需要拡大のための十分なマクロ経済政策を実行すれば、このような問題は生じない。

そして、適切なマクロ政策によってGDPギャップさえ解消できれば、潜在成長率の上昇それ自体はきわめて好ましいことである。


不況の原因にはなり得ない「構造問題」(P.140)
(略)
そもそも、「戦後日本経済の成功は官僚主導の日本的システムによるもの」という考え方自体が、実は非常に疑わしいのである。

日本株式会社の典型とされてきた通産省の産業政策についても、経済学者の多くは、その役割をきわめて否定的にとらえてきた(この点は野口前掲書も指摘している)。

大蔵省の護送船団方式にしても、それが非効率の温床にすぎなかったことは、今となっては明白であろう。

冷静に振り返れば、こうした官僚優位や過剰規制の弊害は、現在よりも過去の方がはるかに甚だしかった。にもかかわらず、過去の日本経済は成長し、現在は停滞している。この事実は、これらの要因がこの十年の不況とは無関係であることを示唆する。

-----

ようするに、「構造改革は単なる制度改革で、経済政策ではない」、ということです。‥言ってしまえば、身も蓋もないフレーズですねぇ‥はぁぁ〜。

非常に野口教授のご説明はわかりやすいと思うのですが‥2002年頃に、テレビでこのような説明をしている方を見たことが無い。

構造改革とは、供給側(たとえばメーカー)の効率を図ろうとするもの。制度改革すればするほど、供給力と対応する「潜在GDP」はますます増えていく。

不景気は、需要側(たとえば消費者)の購買力が、増えてしまった「潜在GDP」よりも下回っていること。とりあえず、手持ちのお金が増えなければ、購買力はあがらないから「現実GDP」は増えない。

よってますます「現実GDP」と、景気の理想である「潜在GDP」との乖離は進む。
ますます不景気になる。

‥っていうことですよね?!野口教授!

なるほど、まさに『「構造改革なくして景気回復なし」というスローガンは倒錯としかいいようがない』です!!

でもこのフレーズにほとんどの国民が熱狂していました。
「構造改革」=官僚国家を改革すべきだと誰もが思っていたから。そしてその先に、景気回復があると信じていた。

そしてそれは、マクロ経済学では全く成立しえないフレーズであった、と‥。


JUGEMテーマ:政治


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