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改造すべき「構造」とは何か(3)

『エコノミストは信用できるか』東谷 暁 著 2003年11月発行 より


経済学を知らないエコノミストVS脳死状態の投資家(P.118)
(要旨)
リチャード・クー氏に代表される議論にもっとも激しく反論し、日米構造協議でアメリカが主張した日本経済の閉鎖性を否定したのは、意外なことに国際経済学の大御所である小宮隆太郎氏だった。

小宮氏は、その国の「総投資」が「総貯蓄」を上回るときには、貿易収支は赤字になるのであって、リチャード・クー氏のいうように円高とか円安などの為替レートとは関係ない、と論じた。(「経常黒字減らしは必要か」週刊東洋経済、93年7月10日号)

「ある国の経常収支の黒字・赤字と、その国の市場の開放性・閉鎖性とは関係ない」
「米国の低い貯蓄も、財政赤字も、米国民が選んだものであり、他国が押し付けたものではない」

小宮氏の理論は国際経済学でいうところの「投資・貯蓄バランス論(IS論)に基づくものであり、とくに目新しいものではない。
これは経済収支が対外投資と等しくなるから、国内における超過貯蓄に関する次の式が成り立つ、というもの。

国内の超過貯蓄 = 貯蓄(S) −国内投資(I) = 対外投資 = 経常収支

これより、経常収支の黒字の縮小は、国内経済の投資・貯蓄バランスの変化を伴っていなければならないことが示される。
小宮氏の理論は80年代末の日本経済新聞の論調や、ボルカー両院委員会での証言とほぼ軌を一にするものであった。

これに対してクー氏は「小宮理論」を批判。
「『悪い円高』とは‥‥輸入障壁や商習慣の違いから、なかなか増えない輸入に対して、輸出が減る形で不均衡が是正される」
「ISバランスの理論が、脳死状態の投資家を前提に成り立っていることに全く気付いていない」(東洋経済新報社、94年7月)

小宮氏も反論する。
「このような理論が気に入らないのであれば、何も「小宮理論」を批判・攻撃する必要はなく‥‥国際マクロ経済学の理論一般、否、経済学の静学理論のすべてを批判・攻撃すればよかった」(東洋経済新報社、94年9月)

この論争は延々と続いた。
赤羽隆夫氏(元経済企画庁事務次官、日本の市場開放を主張する『前川レポート』を起草) → 小宮氏を批判
岩田規久男氏(上智大学教授(当時)、小宮氏の弟子筋) → クー氏と赤羽氏を批判
野口旭氏(専修大学教授) → クー氏と赤羽氏の著作を「トンデモ本」を揶揄して話題に


円安になり、クー氏の議論は空中分解へ(P.121)
(要旨)
クー氏の「悪い円高」論は、現実に為替レートが円高から円安に転換することで論拠を失ってしまった。

95年に榊原英資氏が大蔵省金融局長に就任すると、同年に1ドル79円まで高くなっていた円は、急速に円安基調に転換。榊原氏は「ミスター円」と呼ばれた。翌年には109円、98年には130円にまで下がった。

するとクー氏は次のように述べてしまうのである。
「構造改革が遅れ、国内に有効な投資先がない中で円安が進んでいる。企業も再び輸出を増やしている。ルービン長官の本音は『円安は困る』ということではないか。米国の圧力により円高反転に向かう懸念が膨らんでいる。日本は規制緩和を急ぐ一方、財政政策で国内の投資機会を増やすべきだろう」(97年3月4日、日経金融新聞)

ここまでくると、もう円高は構造改革とは関係ないと事実上認めているようなものだ。構造改革が遅れ、規制緩和も進まず、企業が輸出を増やしているのなら、クー氏の理論でいけば、円高にならなければおかしい。ところが円高にするのは「米国の圧力」だ、というのである。ここに至って、「悪い円高論」は空中分解したと見てよいだろう。

驚くべきは、この後のクー氏の論調の転換である。日本経済が健全化するために構造改革や規制緩和をすすめていたのだから、その後も構造改革論を展開するのが筋というものだが、96年頃から論点を財政出動に転換し、ついには「構造改革論者の無責任な発言」という小論を寄せるに至る。「国民を路頭に迷わせ、事態を悪化させるだけで、責任のある行動とは思えない」(週刊東洋経済、99年6月5日号)

では、バブルが崩壊して日本経済が混乱の極みにあった時に根拠薄弱な論理で「構造改革」を煽ったエコノミストの言説は「責任のある行動」だったのだろうか。いまやチャッカリと「日本の企業を復活させるまで財政出動を行え」と論じているが、その議論もいったいどこまで本気なのか判断がつきかねる。

-----

う〜ん‥ここでも、「構造改革」と「財政出動(経済政策)」が対比されている‥。
先日の野口教授の論だと、それは「倒錯でしかありえない」んですけどね。

詳しくは → 「構造改革」とは何だったのか


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